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【ニュース】エネルギー永続地帯の市町村、100に到達―「永続地帯2018年度版報告書」公表

更新日:2019年12月19日


全国で再エネ導入進むも、太陽光以外はほぼ横ばい

国立大学法人千葉大学の倉阪研究室と認定NPO法人環境エネルギー政策研究所は、26日、日本国内の市町村別再生可能エネルギーの供給実態などを把握する「永続地帯」研究の2018年度版報告書を公表しました。


今回は、2018年3月末時点で稼働している再生可能エネルギー設備を把握し、その設備が年間にわたって稼働した場合のエネルギー供給量を試算しました。


永続地帯とは?

「永続地帯(Sustainable Zone)」とは、倉阪秀史教授(千葉大学人文社会科学研究科教授)が提唱した概念で、ある区域において分散的に得られる資源によって、その区域におけるエネルギー需要と食糧需要のすべてを賄うことができる区域のことです。(※1)

合わせて、その区域における再生可能エネルギーのみによってその区域におけるエネルギー需要のすべてを賄うことができる区域を「エネルギー永続地帯」、その区域における食糧生産のみによって、その区域における食糧需要のすべてを賄うことができる区域を「食糧自給地帯」としています。そのため、「永続地帯」とは、「エネルギー永続地帯」であって「食糧自給地帯」でもある区域といえます。 (※1)


また報告書には、永続地帯指標の役割について以下の様に述べられています。 ① 長期的な持続可能性が確保された区域を見えるようにする ② 「先進性」に関する認識を変える可能性を持つ ③ 脱・化石燃料時代への道筋を明らかにする

筆者が特に興味深かったのは、②についてのこの文章です。「人口が密集する都会よりも、自然が豊かで人口の少ない区域の方が、『永続地帯』に近い存在となります。持続可能性という観点では、都会よりも田舎の方が『先進的』になります。同様に、この指標を国際的に展開していけば、従来は 『途上国』とみなされていた地域の方が、持続可能性という観点からは『先進的』であることが明白になることでしょう。」 (※2)


今回の試算結果

今回の試算の結果、以下のことが明らかになりました。

① 2017 年度に太陽光発電の発電量は 2 割増加。太陽光発電の伸び率は鈍化 ② 太陽光以外の再エネ発電では、バイオマス発電が 7%、風力発電が 5%増加。小水力発電は横ばい。地熱発電は減少。再生可能エネルギー熱の供給は、ほぼ横ばい。 ③ 2012 年 3 月から 2018 年 3 月にかけて、国内の再生可能 エネルギー供給は約 3 倍に。 ④ 域内の民生・農林水産業用エネルギー需要を上回る再生可能エネルギーを生み出している市町村(エネルギー永続地帯)の数が、100 に到達。 ⑤ 域内の民生・農水用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町村(電力永続地帯)は、157 に。 ⑥ 日本全体での再生可能エネルギー供給が民生+農水用エネルギー需要の 12.00%に。 ⑦ 食料自給率が 100%を超えた市町村は 566 市町村。100%エネルギー永続地帯である 100 市町村のうち、58 市町村が食料自給率でも 100%を超えている。 千葉大学倉阪研究室 + 認定 NPO 法人環境エネルギー政策研究所プレスリリース「再生可能エネルギーで住み続けるためのエネルギーを自給できる市町村が 100 に到達-「永続地 帯 2018 年度版報告書」の公表 」

本件に関するお問い合わせ

メール:​contact@sustainable-zone.org URL:http://sustainable-zone.org/ 千葉大学大学院社会科学研究院教授 倉阪秀史 認定NPO法人環境エネルギー政策研究所 松原弘直


※1)公共エネルギーセンター(IPE)「永続地帯とは」http://sustainable-zone.org/ ※2)千葉大学倉阪研究室 + 認定 NPO 法人環境エネルギー政策研究所「永続地帯2018年度版報告書 」 3頁、http://sustainable-zone.org/wordpress/wp-content/uploads/SZ2018_report.pdf


出典・参考


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