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パネルの下に「葵の御紋」!? フタバアオイと太陽光をシェア – 日経テクノロジーオンライン

更新日:2019年12月10日


2月1日日経テクノロジーオンラインに、福井県で太陽光パネル下で徳川家の紋章の原型となったフタバアオイを栽培し、「ふくいの逸品創造ファンド事業」として繊維製品の開発に取り組んでいることが掲載されました。

住宅や産業向け太陽光発電システムの施工を手掛けるジャパンインペックス(鯖江市)は、太陽光パネル下の敷地を活用してフタバアオイ(双葉葵)を栽培し、石田縞の技術を使った「葵染め」繊維製品の開発に取り組んでいる。 フタバアオイは、森林の暗い林床に生える多年草で、ハート形の葉が特徴。京都三大祭りの1つである「葵祭」の飾り物に使われ、同祭を執り行う上賀茂神社の神紋になっているほか、徳川家の「葵の御紋(三つ葉葵)」の原型になったことでも知られる。鯖江市吉江町は、江戸期、越前松平家が治めた吉江藩の領地で、家紋はやはり「三つ葉葵」だった。フタバアオイは、かつて上賀茂神社の境内にも自生するなど、多くの里山で見られたが、温暖化やシカ害などの影響で、激減している。いまでは葵祭に使うフタバアオイの葉さえ十分に確保できなくなっているという。 吉江町では、地域とのゆかりにちなみ、住民による「吉江あおい会」が発足し、10年ほど前からフタバアオイの栽培に取り組んでいる。いまでは年間2万株もの生産に成功し、毎年、5月の葵祭の前に、上賀茂神社に奉納している。
パネルの下を有効活用したい ジャパンインペックスは、電気設備工事を手掛けるサビデンキ(鯖江市)の太陽光施工部隊が分離・独立する形で2011年に設立された。(中略) 本社に隣接する遊休地に昨年、出力550kWの太陽光発電システムを建設し、自ら発電事業にも取り組み始めた。約50kW分は、住宅太陽光のデモンストレーションも兼ねており、模擬屋根型の架台に太陽光パネルを設置した。残りの500kW分は、高さ約3mの支柱に50cmの隙間を空けてパネルを設置し、営農型太陽光発電事業(ソーラーシェアリング)を想定した藤棚式架台を採用した。(中略) 佐飛康央社長は、かねてから、「太陽光パネルの下の空間を何かに有効利用できないか」と考えていた。500kWの自社発電所を藤棚式にしたのも、そのためだった。 もともと発電所用地は農地ではないので、農地法に基づく「一時転用」には該当しない。一時転用制度による営農型太陽光の場合、パネルの影による減収が本来の収量に比べ20%以内に留まるなどの条件がある。今回のように雑種地でのソーラーシェアリングでは、そうした制約がないので、自由な発想で、パネル下の利用について検討できる。(中略) 100本の苗を移植 フタバアオイは、別名・ヒカゲグサと呼ばれるように、日影でないと育たない。その栽培では、ヨシズなどで覆って日を遮る必要があり、それが手間になっていた。太陽光パネル下なら、もともと日影が多いので、栽培に適している。収穫したフタバアオイの葉で糸を染色し、石田縞の手織りで繊維製品を作る、というアイデアが浮かんだ。(中略)

「葵の想い」を商品化 ジャパンインペックスは、今春以降、成長した葉を吉江あおい会から購入し、商品開発に取り組む。具体的には、鯖江市繊維協会に依頼して、石田縞の技術を使った繊維製品を開発することになっている。


同社のこうした取り組みは、福井県から「ふくいの逸品創造ファンド事業」に採択され、商品開発にかかる費用に関し、助成金を受けられることになった。(中略)

神様に出会える植物 まずは、京都の染色作家の指導を受けながら、フタバアオイを原材料にした染め物の技術を学び、「石田縞」関係者を中心に試作品を制作する計画だ。コースターやハンカチ、タオルなど、すでに製品化されている「石田縞」のオリジナルグッズを参考に「葵染め」グッズの種類を増やしていくという。 フタバアオイは、「神様に出会える植物」と言われ、また、ハート形であることから恋愛成就の謂れもある(図7)。鯖江市は、江戸期の文豪、近松門左衛門が育った地域でもあり、こうした歴史も絡めた街づくりも提案していきたいという。(中略)


図7●ハート形をしたフタバアオイの葉

佐飛社長は、「今後3年程度で、商品開発とその販路開拓にめどを付けたい」と言う。そうして商品の出口戦略を固めつつ、いまは空いている500kW分の太陽光パネルの下にも、花壇を設置して、フタバアオイの栽培面積を徐々に増やしていきたいとしている。

農地以外でも太陽光パネル下を利用し、指定無形文化財である石田縞の技術を使って商品開発を目指す取組みは、鯖江市の地域特性が活かされて魅力的です。


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