農地の上部に太陽光発電設備あることにおいて農作業に支障がでるのではないかというお話を良く質問いただきます。これは、設計と農作物の選定でクリアされています。 ソーラーシェアリングにおいて、農水省上の指針には耕作部分に関して以下の通り、許可にあたる条件として記載されています。 『支柱の高さについては、当該のうちの良好な営農条件が維持されるよう、農作物の栽培において、効率的な農業機械等の利用が可能な高さ(農業機械による作業を必要としない場合であっても、農業者が立って農作業を行うことができる高さ(最低地上高おおむね2メートル以上))を確保していることが認められること』(「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」24農振第2657号平成25年3月31日平成28年4月改正)
許可上の取り扱いで立った状態で農作業が出来る広さ・そして農業機械が利用可能な高さが前提となっています。そのため、実際に作業の際には閉塞感など感覚的な不自由はあるかと思いますが、耕作作業は問題ないことがそもそもソーラーシェアリングを実施するための最低条件となっています。
作物の選定に関して言えば、全ての農作物は太陽光のみが条件となる訳ではありません。むしろ、多くの植物にとっても動物にとっても太陽光は強すぎれば有害です。作物の生育と収穫は太陽光からの日照だけでなく土、養分、水、病、虫害等の様々要因に左右されます。農地に上に適切に設計され設置されたソーラーシェアリングの設備は、農地内の過剰な水分の蒸散を押さえ、地表・地中の温度を下げる効果があります。
国内のソーラーシェアリングの第一人者であるCHO研究所の長島彬氏によると実証実験の結果から、自然災害等の発生がなければ単位面積あたりの収入の減少は、柱により耕作できない部分の面積以上にはなりにくいとしています。 また、同氏は副次的な効果として以下の効果を上げています。 ・高温障害の防止 ・鳥害防止 ・防虫網の設置が容易 ・裸地の農作業を、日陰を利用できることにより「楽な作業」に変えられること (CHO研究所 http://www.d3.dion.ne.jp/~higashi9/sola1.htm)
農作物の選定には、農地の現状とソーラーシェアリングの設計に基づいて作物が必要とする日射量など総合的な知見からの判断が必要となります。
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