今後はソーラーシェアリングでの農業をどのように継続していくかが重要な課題であると考え、農業を支え合えるシステムをつくることが必要だと感じている。
そのためにも、今は地域の人々が関わってもらえるように、まず実績をあげてこの取り組みに対する信頼性を高めていきたいと考えている。
小さいことを地道に取り組み、地域の方々に″人となり”を見てもらって理解してもらえるようにやっていきたいと考える。
ソーラーシェアリングを通じて地域の方々と一緒に農業をし、人とお金、コミュニケーションが循環できるコミュニティの「地域循環モデル」をつくり、他の地域にも広げていきたいと思う。
設置したきっかけ
元々、地球温暖化や原子力発電の問題を解決する手段として、自然エネルギーの活用に関心を持っていた。また、「電気」のような公共性の高い財産は、使用する市民自らの手で創りたいとの思いもあった。
さらに、荒廃していく農地を再生して地域社会を守りたい。 そうした思いを持っているなかで参加した交流会で「ソーラーシェアリング」を知り、ソーラーシェアリングによる市民発電所をつくろうと思った。
設置してよかったこと苦労したこと
良かったこと
設置の動機にあった、地球温暖化や原子力発電の問題解決への貢献、市民発電所の設置、農地荒廃化の対策といった、当初の目標としていたことが達成できた点はよかったと思う。
苦労したこと
設計・施工について 初めてのことだったので試行錯誤の連続だった。 特に、ソーラーシェアリングの資材がまだ一般的ではなく、取り扱う業者の体制も未整備だったため、資材の調達は大変だった。また、パネルの納期が予定よりも遅れたため、下部に農作物がある状態で上空でのパネルの設置作業を行わなければならなかったことは苦労した点である。
農地転用許可について 農地転用の許可については、ソーラーシェアリングの第一人者であるCHO技術研究所の長島彬先生の推奨設計を学び、遮光率32.5%で設計し、自らで必要となる書類を作成し申請をした。
農業委員会の人々と普段から交流があるのは進めやすかった点だと思う。ただ、許可申請の時点で資金繰りや費用の証明を求められる点はなかなか難しい点であった。最終的には始めたい人の人柄や信頼関係が重要であったと感じる。
また、各市町村の農業委員会で基準が統一されていない点は改善されていく必要があると考える。この点については、今後も各地で事例が増えてくれば周辺への広がりも期待できると思う。
資金調達について 金融機関融資にあたって、一口に金融機関といっても、「銀行」の他にも「信用金庫」や「組合」など様々な組織がり、さらにその組織の中でもそれぞれ特徴がある。ソーラーシェアリングは今は前例の少ない新規ベンチャー事業になるので、各組織の基準を見極めて、ひとつひとつ丁寧に説明をして理解をしてもらうことが必要である。
設備概要
発電所名 飯塚第1発電所『Sun Agri』
所在地 千葉県匝瑳市飯塚3403
所有者 椿 茂雄(運営 市民エネルギーちば合同会社)
発電出力 35.07(kWp(DC))
発電量 38,500(kWh/年)
電気の使途 東京電力への全量売電
パネル アメリソーラー製70W×501枚
架台 Φ48.6の単管パイプを使用(クロムメッキによるサビ防止加工処理)
モニタリングシステム なし。ただし、今後発電所サイトの増設後に設置予定、機器選定中。
基礎 単管杭を地中に打ち込み後周囲をボイド管で囲いセメントで根巻き処理
基礎杭打込み深さ50~80cm
地目 畑
耕作物 大豆、一部試験的に大麦
設置面積 832㎡
設置費用 約850万円
発電開始日 2014年9月
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